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本予告編
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特報


イントロダクション
能登半島の中央に位置する石川県穴水町。人口は7000人を下回り、若者と高齢者の数がともに減りゆく「人口減少の最終段階」に入っている。コンパクトシティを推進する町の中心部から悪路を進んだ限界集落に暮らす元・中学校教師の滝井元之さん。2020年から手書きの新聞「紡ぐ」を発行し、利益誘導型の政策や町の未来に警鐘を鳴らし続けている。穏やかな穴水湾をのぞむこの町の伝統漁法「ボラ待ちやぐら」。我慢強さは町民性ともいえるが、滝井さんはこう記す「何もしなければ、何も変わらない」。石川テレビのクルーは市井からの眼差しにローカルメディアの存在意義を重ねながら、惰性と忖度蔓延る役場と町議会の関係の歪さを浮き彫りにしていく。
カメラは思わぬ事態に見舞われた町と人びとの営みをつぶさに見つめる。そして、同年5月に放送されたテレビ版が、穴水に大きな風穴を開けた。「このままでは町がなくなる」。声を寄せ、届け、耳を傾ける。映画は確かな変化の芽吹きを映し出していくのだが―― 。
監督は石川テレビの五百旗頭幸男。『はりぼて』では富山市議会の不正を暴き、市議が次々とドミノ辞職。ムラ社会の父権的な空気をあぶり出した『裸のムラ』は、映画公開後に馳浩石川県知事の定例会見拒否問題にまで発展した。映画の終盤、ここぞとばかりに、まことしやかに囁かれる穴水町最大の“タブー”に斬り込んでいく五百旗頭。投げかけた言葉に込めた思いとは。


監督メッセージ
いつからか記者会見は劇場化し、手っ取り早くビューを稼ぐためのコンテンツと化した。映画の舞台、穴水町には定例会見がない。NHKと民放テレビの取材がほぼ入らず、「ニュース砂漠」が近づく過疎の町で、権力監視の役割を最も担い、町民の信頼が最も厚いメディアは、80歳の元教師が発行する手書き新聞だった。配布は月2回、部数は500部。「バズる」とは隔絶した世界線に、地域を愛し、地道に信頼を紡ぐオールドメディアの姿がある。
五百旗頭幸男

監督プロフィール

五百旗頭幸男
1978年兵庫県生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。2003年チューリップテレビ入社。スポーツ、県警、県政などの担当記者を経て、16年からニュースキャスター。20年3月退社。同年4月石川テレビ入社。
ディレクター作品に「異見~米国から見た富山大空襲~」(16/チューリップテレビ/ギャラクシー賞奨励賞・日本民間放送連盟賞優秀)、冬季は閉鎖されている立山黒部アルペンルートの通年営業化計画を検証した「沈黙の山」(18/チューリップテレビ/ギャラクシー賞選奨・日本民間放送連盟賞優秀)など。富山市議会の政務活動費不正問題を追った「はりぼて~腐敗議会と記者たちの攻防~」(16/チューリップテレビ)で文化庁芸術祭賞優秀賞、放送文化基金賞優秀賞、日本民間放送連盟賞優秀などを受賞。20年、同じく富山市議会の不正を追い続けた『はりぼて』を砂沢智史とともに監督し劇場公開。全国映連賞、日本映画復興賞などを受賞した。
21年、石川テレビ移籍後に発表した「裸のムラ」で地方の時代映像祭選奨を受賞。22年、「日本国男村」で日本民間放送連盟賞最優秀を受賞。同年、両作品を基にした監督作、『裸のムラ』を劇場公開。24年、「能登デモクラシー」でギャラクシー賞入賞。本作『能登デモクラシー』が劇場公開3作目。
富山市議会政務活動費不正受給問題の取材で菊池寛賞、日本記者クラブ賞特別賞、JCJ賞、ギャラクシー賞大賞を受賞。著書に「自壊するメディア」(講談社、共著)、「富山市議はなぜ14人も辞めたのか~政務活動費の闇を追う~」(岩波書店、共著)。
劇場情報
1,500円(税込)発売中
使用できません)
近日開催の劇場イベント情報
5月17日(土) 時間調整中 五百旗頭幸男監督による舞台挨拶
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大阪府大阪市|第七藝術劇場
5月18日(日) 時間調整中 五百旗頭幸男監督による舞台挨拶
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石川県金沢市|シネモンド
5月24日(土) 12:15の回上映後、五百旗頭幸男監督による舞台挨拶
5月25日(日) 12:15の回上映後、五百旗頭幸男監督による舞台挨拶
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福岡県福岡市|KBCシネマ1・2
5月31日(土) 時間調整中 五百旗頭幸男監督による舞台挨拶
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愛知県名古屋市|ナゴヤキネマ・ノイ
6月1日(日) 11:00の回上映後、五百旗頭幸男監督による舞台挨拶
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兵庫県神戸市|元町映画館
6月14日(土) 時間調整中 五百旗頭幸男監督による舞台挨拶
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広島県広島市|横川シネマ
6月15日(日) 時間調整中 五百旗頭幸男監督による舞台挨拶
北海道・東北
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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北海道 札幌市 |
シアターキノ | 011-231-9355 | 6月14日(土)~6月20日(金) |
備考 | |||
宮城県仙台市 | フォーラム仙台 | 022-728-7866 | 近日公開 |
備考 | |||
山形県山形市 | フォーラム山形 | 023-632-3220 | 近日公開 |
備考 | |||
福島県福島市 | フォーラム福島 | 024-533-1515 | 近日公開 |
備考 |
関東
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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東京都中野区 | ポレポレ東中野 | 03-3371-0088 | 5月17日(土)~ |
備考:東京都中野区|ポレポレ東中野 5月17日(土) 時間調整中 五百旗頭幸男監督による舞台挨拶 |
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神奈川県厚木市 | あつぎのえいがかんkiki | 046-240-0600 | 5月30日(金)〜 |
備考 | |||
群馬県高崎市 | シネマテークたかさき | 027-325-1744 | 近日公開 |
備考 | |||
栃木県宇都宮市 | 宇都宮ヒカリ座 | 028-633-4445 | 8月22日(金)〜 |
備考 |
中部
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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石川県金沢市 | シネモンド | 076-220-5007 | 5月24日(土)〜 |
備考:石川県金沢市|シネモンド 5月24日(土) 12:15の回上映後、五百旗頭幸男監督による舞台挨拶 5月25日(日) 12:15の回上映後、五百旗頭幸男監督による舞台挨拶 |
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福井県福井市 | メトロ劇場 | 0776-22-1772 | 近日公開 |
備考 | |||
新潟県新潟市 | シネ・ウインド | 025-243-5530 | 近日公開 |
備考 | |||
新潟県上越市 | 高田世界館 | 025-520-7626 | 近日公開 |
備考 | |||
長野県長野市 | 長野相生座・ロキシー | 026-232-3016 | 近日公開 |
備考 | |||
愛知県名古屋市 | ナゴヤキネマ・ノイ | 052-734-7467 | 5月31日(土)~ |
備考:愛知県名古屋市|ナゴヤキネマ・ノイ 6月1日(日) 11:00の回上映後、五百旗頭幸男監督による舞台挨拶 |
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静岡県静岡市 | 静岡シネ・ギャラリー | 054-250-0283 | 近日公開 |
備考 | |||
静岡県伊東市 | 金星シネマ | 0557-28-0479 | 5月28日(水)~6月8日(日) |
備考 |
近畿
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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大阪府大阪市 | 第七藝術劇場 | 06-6302-2073 | 5月17日(土)~ |
備考:大阪府大阪市|第七藝術劇場 5月18日(日) 時間調整中 五百旗頭幸男監督による舞台挨拶 |
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京都府京都市 | 京都シネマ | 075-353-4723 | 5月23日(金)~ |
備考 | |||
兵庫県神戸市 | 元町映画館 | 078-366-2636 | 6月14日(土)~ |
備考:兵庫県神戸市|元町映画館 6月14日(土) 時間調整中 五百旗頭幸男監督による舞台挨拶 |
中国・四国
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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広島県広島市 | 横川シネマ | 082-231-1001 | 6月14日(土)~ |
備考:広島県広島市|横川シネマ 6月15日(日) 時間調整中 五百旗頭幸男監督による舞台挨拶 |
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広島県尾道市 | シネマ尾道 | 0848-24-8222 | 近日公開 |
備考 | |||
愛媛県松山市 | シネマルナティック | 089-933-9240 | 近日公開 |
備考:火曜定休 |
九州・沖縄
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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福岡県福岡市 | KBCシネマ1・2 | 092-751-4268 | 5月30日(金)~ |
備考:福岡県福岡市|KBCシネマ1・2 5月31日(土) 時間調整中 五百旗頭幸男監督による舞台挨拶 |
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熊本県熊本市 | Denkikan | 096-352-2121 | 近日公開 |
備考 | |||
佐賀県佐賀市 | シアターシエマ | 0952-27-5116 | 近日公開 |
備考 | |||
宮崎県宮崎市 | 宮崎キネマ館 | 0985-28-1162 | 近日公開 |
備考 | |||
鹿児島県鹿児島市 | ガーデンズシネマ | 099-222-8746 | 6月2日(月)~6月7日(土) |
備考 |



コメント
能登の物語を観ることで能登の人を応援できれば……なんて些か傲慢な意気込みで観始めたが、むしろこれは能登の外側にいる人々を奮い立たせるエンパワーメント・ドキュメンタリーだ。 衰退の一途を辿る民主主義を手繰り寄せ、自らの手で社会を操舵し始めた穴水の姿は希望そのもの。「なら我々も政治を変えられるのでは?」と鼓舞されずにはいられない。 この社会で市民が持つ力を思い出させてくれる、今この国に最も必要な映画ではないだろうか。
―― ISO(ライター)
草の根新聞と、その活動を報じたテレビによって、民主主義の萌芽が見える。 間違いなく良作、だけど、なんだか五百旗頭さんらしくないな……と思っていたら、最後にすげぇのきた! 問い質すタイミングも含め、最高だ。 これぞ五百旗頭ワールド。民主主義は、やっぱり簡単じゃないよね。
―― 大島新(ドキュメンタリー監督)
手書きの闘いを、同じ想いで支える人たちがいる。 過疎の止まらない町の未来をあきらめない。あきらめさせない。 一通一通が紡いできた連帯の輪は、地震の後にこそ濃く広がっている。そのたしかな軌跡が残された。 滝井さん夫妻の記録は、能登の各地で地震の前から奮闘してきた人たちにも光を当てるものだ。 そして能登だけの問題ではないと、自分にも支える手があることに気づかせてくれる。
―― 小森はるか(映像作家)
ここは、能登半島のちいさなまち ――なあなあな部分の脱却は難しいよなあ、何十年も住んでいると 町長の率直な本音の通り、町政はぐずぐずと腐敗している しかしこのまちには、自治のための技術を持つ、うつくしい高齢者たちがいる 田畑を耕し、生きものを育て、果実をもぎ、水を引く 発行部数500部の手書きの新聞は、町民たちが本音を共有するための重要なメディアだ 書く、刷る、手渡す / 読む、カンパする、語り出す 80歳の主人公と、穴水町にエールを
―― 瀬尾夏美(アーティスト、詩人)
究極のオールドメディアともいえる過疎地の手作り新聞。 震災後の号に「私たちは生きています」と書き入れるとき、その筆の逡巡が雄弁で、本物の言葉を見たという気がした。 滝井さんは住人や議会に声をかけ続け、妻の順子さんは何度も「ありがとう」と口にする。 そんな「言葉を手渡す」という切実な営みが、即席の引用やリポストでは届かない扉をノックし続ける。
―― 岨手由貴子(映画監督)
世界の極東に位置し、少子高齢化社会を迎えた島国、日本。能登デモクラシーはそのまま日本のデモクラシーを映し出している。 果たして僕らは慣例を抜け出し、自分たちで社会を再建することが出来るのか? 僕らに滝井さんのような在り方が出来るかどうか。人のために動く彼の背中には猫さえも安心して乗っかる。
―― ダースレイダー(ラッパー)
税金を払っている。嫌々ながら。 ちゃんと使ってもらわないと困る。 チェックする。なんだこれ、と疑う。 これ、民主主義の基本だ。 今、折れそうになっている。 なぜなのか。図太い問いに貫かれている。
―― 武田砂鉄(ライター)
全てが見どころだが新聞マニアとしては「地元メディアとは何か?」を考えさせられた。 誰かが監視をしないとすぐに群れる。五百旗頭監督や滝井さんのような人がいてこそ緊張感を持つ。あの「手書き新聞」こそ、石川県で最高の地元紙ではないか?観ればわかります。
―― プチ鹿島(時事芸人)
能登で最も小さな自治体、穴水町。穏やかな海とおおらかな人々、選挙をすれば投票率は70%超え…。 何ともうらやましい!と思いきや、一皮剥けば権力の濫用、惰性、波風立てず「なあなあに」が蔓延。 この国の等身大を見た。それに抗い続ける地元の小さな独立系メディアと、立ち上がり始めた町民たち。民主主義の芽を育てていくために大切なものは何かを教えてもらった。
―― 前田亜紀(映像ディレクター/プロデューサー)